2024/01/30
ケインズというのは20世紀を代表する経済学者。イギリス人。
この人が著書で次のようなことを書いています。
『投資のプロが行う投資は,「100枚の写真の中から美人だと思う人に投票してもらい,最も票が多かった人に投票した人達に賞品を与える新聞投票」に見立てることができる』と。
どういう意味なのか,私なりに説明を。
賞品を確実にゲットしようと思ったら,”この写真の人は美人だと自分が思う人”に投票するのはとりあえずやめておく。自分の好みと自分以外の人の好みとが違っている可能性がありますから。自分の好みは保留して,”美人だと多くの人が判断するであろう人”に投票する。そうすれば,最も票が多い人に投票できて賞品を手に入れる可能性が高まります。
株式などに対する投資もこれと同じ。投資で利益を得ようと思ったら,”値上がりするであろうと自分が思う株”をいきなり買わない。自分の考えと周囲の投資家の考えは違う可能性がありますから。”値上がりすると多くの人が判断するであろう株”を買う。多くの人が買えば株価は上がります。そうすれば投資で利益を得られる可能性が高くなります。
プロはこういう考えで投資を行う,ということをいいたいのでしょうね。(解釈が違ってたらすみません)
校舎に行くと多くの質問があり,その半数近くが記述問題の質問です。国語も社会も。
質問対応をしていて,上に書いた「ケインズの美人投票(Keynesian beauty contest)」の話を思い出しました。
例えば,国語。「理由を書きなさい」「心情を説明しなさい」などという問題。
”自分はこう思う”というのは置いておく。美人投票の話と同じです。”こう思う”が解答とマッチしていることもあるでしょうし,マッチしていないこともあるでしょう。だから,いったんは答えを書くのを我慢する。
株式投資の場合は,自分の好みはとりあえず保留する。自分以外の投資家がどんな”指標”を見て買っているのか,どんな”ニュース”に反応しているのかを考え,多くの人が購入して人気が出るであろう株を購入する。
国語のテストの場合は,「出題者は◯行目,△行目,□行目の内容を根拠にして,こういう解答を書いてほしいんだな」と考える。「多くの人は◯行目,△行目,□行目の内容から,普通はこう考えるよな」と推測してみる。その考えに沿って答えを書く。
口で言うのは簡単ですが,こういうことは身につけるのは難しいです。だから,質問に答えるときにはこういう話をしています。(ちなみに美人投票の話自体はしていません。現代においてはポリコレ的にいろいろありますからねえ。)
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