忘れられない少年　稲田

その少年は小学生のころから桐光に通ってくれていたのですが，数年間一言も言葉を発することができませんでした。それは学校でも。中2の頃のある三者面談で初めて私は会話をしました。その時点でも彼が話ができる人間は保護者と学校の担任と私くらいの状況。そして中３のある日「しゃべろうと思います」そう私に告げてくれ，その日から少しずつ授業でも発表し始め，周りとも会話を始めました。それに合わせて「家も近いので」と言って毎日夕方から校舎にくるようになりました。本当に毎日。その結果彼は点数も飛躍的に伸びていき，内申点8UPという私の一回での上昇の最高記録を達成してくれました。

簡単な文章でさらっと書いたように見えますが，そんな甘い話ではありません。話しはじめた勇気もそうですが，途中でも山あり谷あり，さらにここで書けないような困難もたくさんありました。毎日の桐光だって，本当にずっと桐光にいました。

「人は変われるのか」その質問の答えをくれたのが彼です。塾生と面談をすると，そんな話が出てくることは多々あり，そのたびに彼の顔が浮かびます。簡単ではないだろうけど，人は変われます。そしてどんな子でも本気になれば結果を勝ち取ることはできるということも。

 

そんな少年・・・いや青年から先日「就職で東京に行ってきます」そんな報告がありました。彼は卒塾後もちょくちょく校舎に顔をだしてくれ，それぞれの場所で本当に頑張っている話をしてくれていました。そこで一番の結果を手にしたんだと嬉しそうに報告してくれました。

 

大丈夫です。みんなだって同じです。

 

稲田でした