2023/08/02

水曜どうでしょう　大田

28年ぶりの再会

半年くらい前にＫくん（高校のときの親友）から連絡がありました。「今こっち（磐田）に住んでいるから会わないか？」という連絡。

「受験前は無理だなぁ，超忙しいし」と返信しました。

ゴールデンウイークに連絡がありました。「最近夕方になるとかぶと塚でランニングしているんだけど，かぶと塚で会わない？」。かぶと塚というのは磐田市の見付にある公園です。ここは私たちが通った高校の近くにあり,そのころ何度か来た場所。

意味がわからん提案

じゃあ夕方の４時に行くねと返信したら，わけのわからない提案をされました。

「スマホを持ってくるのやめねえ？」

「どうしてだよ？それだとお互い見つるのが難しいじゃん。久しぶりだし,薄くなったし」

「それがいいんだわ。文明の利器に頼らずにお互いを探す」

「それだと会えないかもしれないよ」

「どんな服を着ているかだけ教え合おう」

公園についてから約３０分後に会うことができました。それにしても昔と変わらずわけのわからんことをする人だ。

文明の利器

今は昔と違っていろいろ便利です。私が高校生の頃はスマホどころが携帯電話ですら普及していませんでした。だから友達と連絡をとるときには相手の自宅電話に電話しないといけませんでした。

電話をしたときに相手の家族が出たら，それなりの電話応対をしないといけない。これは勉強になりました。大人になってから役に立ちました。

映画「ゴーストバスターズ」を一緒に観に行こうと約束をしたクラスの女子の家に電話をしたときに，相手のお父ちゃんが電話に出てしまったこともあった。そのときは死ぬかと思った。縄文・弥生・縄文・弥生という感じでした。（どき・どき・どき・どきという意味です）。これはよい？経験でした，電話をかけるときの勉強になりました。いまでもゴーストバスターズのテーマソングを聴くとこのときのことが頭に浮かびます。

まあ,とにかく,現代は非常に便利な時代になりましたよ。

人生いろいろ

話を元に戻します。

28年ぶりに会っていろいろ話しました。

「今まで海外に行ってたんだけど，今はこっちに戻ってる」

「東京で働いてたんじゃなかったっけ？（”こっち”というのは磐田じゃなくて日本だったのか！）」

「そこは15年前に辞めた。そのあとは〇〇とか△△とか海外のリゾート地で働いてた」

「言葉はどうしたの？　フランス語とかスペイン語とか勉強したの？」

「いや，全然。でも，単語をいくつか覚えときゃなんとかなる。テキトウに単語を並べて”日本人スタッフを募集していないか”というメールを送ったら就職が決まった」

「知らない人だらけのところで，言葉もあまり通じなくてストレスじゃなかった？」

「めちゃくちゃストレスだったわ。」

「めちゃくちゃストレスがかかる環境になんで自分から行くのよ？」

「だって，そっちの方が刺激がたくさんあって面白いだろ？　で，コロナ禍で仕事がなくなったんで今はバイトをしながらこうやって体力づくりをして次のチャンスに備えてる」

相変わらずこの人はぶっ飛んでいる。スリルがないと生きていけないのか,この人は(笑)。とにかく,私には絶対無理な生き方です。

この”カーナビ”は古い?

話をしていて,ちょっと不安になることがあったので聞いてみた。

「ぼくの頭の中の人生の”カーナビ”はもう古いんかね?」

突然言い出したこういう比喩表現の意味をすぐに理解してくれたのは,きっと親友だからでしょう。

スマホも携帯電話も,カーナビもなかった私たちの高校時代に,自分の将来のことを考えて,自分の人生の進路を決めたその考え方(＝カーナビ)は,もう古いのかな?という意味です。私には絶対に無理な生き方をしている彼の話を聞いて,突然,聞いてみたくなったのです。

その後,一緒に歩きながら話をして出た結論は

勉強しろ!

ということです。

昔とは格段に違う科学技術の進歩のスピード。それによって世の中はどんどん変っていくし,価値観も変化していく。それに応じた知識やスキルを身につけていかないといかない。

そういう中で,勉強して獲得した知識そのものは,時代の変化が速いせいですぐに陳腐なものになってしまうかもしれない。けれども,勉強するという行為そのものは絶対に役に立つ。

今,生徒の皆さんが勉強していることは,学ぶ「型(カタ)」を身につけているのと同じです。その「型(モデル)」が身についていると,世の中の変化にあわせて新しいスキルを獲得するときに非常に役に立つ。

そういう意味で,彼との話の結論は「勉強しろ!」ということになりました。