2023/05/12
歴史の教科書の徳川家康の絵からは想像できませんが,家康は武術の達人だったそうです。現代風に言えばスポーツ万能という感じでしょうか。
弓術,馬術,剣術,鉄砲が得意だったと言われています。
馬術に関しては,大坪流という流派の免許皆伝だったらしい。
家康が豊臣秀吉の家来だったころ,秀吉の命令で北条氏を攻めに行くことになります。
家康は自分の軍勢を連れて,他の大名とともに北条氏の本拠地である小田原城に向かいます。
その途中で小さな川があった。その川には細い橋がかかっている。
馬に乗ったままこの橋をどう渡るのか? もしかしたら馬術の達人(家康)の見事な技を見ることができるかもしれない,ということで他の大名や兵士たちが家康に注目します。さて
ど う す る 家 康
家康は馬から降りた。
馬を家来に預けて自分は別の家来の背中におぶってもらって川を渡った。
馬術の達人の妙技を見られるかもと期待していた周囲の人々はがっかりした。
家来におんぶしてもらって川を渡る家康の姿を見てクスクス笑う兵士も中にはいた。
兵士は笑ったけれど,大名たちは笑わなかった。
それどころか大名たちは皆 感心した。
さすがは馬術の達人だ!
臆病者にも見えるような家康のこの対応を見て,なぜ大名たちは感心したのでしょう。家康のどんな点に感心してのでしょう。
今回は,小田原の北条氏を攻めるために来ています。それが本来の目的です。馬術の腕前を披露してほめてもらうことが目的ではありません。
こんなところで危険を冒して得られるのはたかだか周りからの称賛。もしも失敗して怪我でもしてしまったらどうするのか。小田原攻めに支障をきたしたら大変です。しかも今回の小田原攻めは秀吉の命令であり,いろいろあって(長くなるので省略)家康は秀吉に疑われないように全力で取り組まないといけない状況にあります。
(小田原攻めを成功させる)>>>>>>(馬術の腕前を見せてドヤ顔する)
家康の頭の中はこういう↑感じだったのかもしれません。
また,なんのために馬術を習うのか。自分自身と馬の安全が目的ではないでしょうか。危険を冒さなかったということはこの目的にも合致しています。
さらに言うと,自分の実力を過信したときに人間は失敗しやすい。そういうことも考えていたのかもしれません。
歴史上の人物にはいろいろなエピソード(逸話)があります。
そのエピソードの多くは史実かどうか確認できません。
確認はできませんが,エピソードから学べることはたくさんあります。
史実かどうかはとりあえずおいといて,エピソードから教訓を引き出すことも歴史を勉強する意味だと私は思っています。
例えば,生徒の皆さんに関して言えば,塾で勉強する「本来の目的」って何でしょうね。
成績を上げること。
それは何の目的につながるの?
志望校合格。
それは何の目的につながるの?
自分の将来の夢を叶えるため。自分の将来の選択肢を広げるため。
・・・
という感じで,ときどき「本来の目的」を考えてみる。そして,今やっている または やろうとしているその行動は「本来の目的」から外れていないかな?と自分を振り返ってみる。
そういうことが大切じゃないでしょうか。
ときどきは本来の目的から外れる行動をしてしまっても仕方がいないと思いますよ。だって
人 間 だ も の
ただし,受験生は,そういう行動をしてしまう回数を減らさんといかんけどな。
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