2025/04/29
桐光の小学生の授業は「よみトレ」。
算数では文章題と図形の問題に重点を置いた授業をしています。国語では教科書内容以外の文章を読んで読み取り問題を解くことに重点を置いています。
ただ,国語ではときどき漢字の問題も解いていきます。
小5のテキストの順番通りに進めていって,「音読みと訓読みの区別」の問題がありましたので,先週末の授業ではその説明をしました。
私「漢字ってもともとどこの国の文字か知ってる?」
生徒「中国! たしか亀の甲羅に文字を書いてた」
私「すごいなぁ。甲骨文字をしっているのか。」
私「簡単に言うとね,中国語の読み方をもとにしたのが『音読み』。もともと日本にあった言葉に漢字をあてた読み方が『訓読み』です。」
私「わかりにくいと思うんで例を出しますね。『山』(←板書)という漢字の読み方を2通り教えてください。」
生徒「やま! さん!」
(”やま さん”だと!? 『太陽にほえろ!』か??)
私「この漢字は中国語でshãn(私の発音はテキトウです)と読みます。この発音に近いのはどっち?」
生徒「さん!」
私「そうだよね。だから,”さん”は音読みで”やま”は訓読みです」
私「でもね,中国語って習ってないじゃん。では,どうすればいいのか?」
私「たとえばね,家族で食事中に『ちょっとそこの”き”を取って』って言ったら,はてなマークが10個ぐらいつくよね。何言ってんだ,この人は?って感じで」
私「けれども,『ちょっとそこの”うつわ”を取って』なら何のことかわかる」
私「意味が通じやすい方が,もともとの日本語で訓読み。意味が通じにくい方が,中国語の発音からとった音読み。だから”器”は”うつわ”が訓読みで”き”が音読みです」
私「でもね,例外もあるんだよ。例えば”本(ほん)は意味が通じるよね。でも音読みなんだよね」
生徒「なんで?」
私「実はね,漢字が日本に伝わったころ,日本には『~ん』とか『ゃ・ゅ・ょ』の発音はなかったらしいんだよね。」
私「だから,『~ん』となる読み方や小さい『ゃ・ゅ・ょ』が入る言葉は中国語の発音からきているので音読みです」
私「じゃあ聞くよ。客(きゃく)は何読みですか?」
生徒「音読みです」
私「なぜ?」
生徒「小さい『ゃ』が入っているからです」
私「正解で~す!」
私「あともう1個 話をさせてね。肉(←板書)は何と読みますか?」
生徒「にく!」
私「肉(にく)は意味が通じますし,『~ん』や『ゃ・ゅ・ょ』がないけれど音読みです」
生徒「なんで?」
私「この漢字,”にく”以外の読み方を知ってます?」
生徒「知りません。習ってません」
私「そうだよね。読み方が1つしかないんです。読みが1つのものは音読みなんです。もともと日本にはなかった,つまり中国語だったということで。」
(「肉」には常用漢字表以外では”しし”という訓読みがあります)
「音訓の区別」だけで1回の授業が終わってしまいましたが,これはこれでいいと思います。「音読みと訓読みの区別」は中学生からも質問がありますので,ココでしっかりとイメージや感覚を身につけてもらった方がいい。
そして,私自身も授業をやっていて楽しく感じましたし。
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