2025/03/18
3月14日に公立高校の合格発表があり,先週末から今週にかけて,受験生が塾に来てくれました。
大切な合格証書を見せに来てくれた生徒が何人かいました。そのなかで,中学の卒業アルバムを持ってきた生徒がいました。卒アルの最後のメッセージを書く部分に,北浜校の先生のメッセージを書いてほしい,とのことでした。
ここに書いてあるメッセージは,クラスメイトのものでしょうか,いろいろなメッセージが書かれています。その次のページに書いてほしいと言われました。何も書いていないまっさらなページに,私が一番最初に何かを書くのは,さすがに気が引ける。
「他の先生に書いてもらってから書きます。まず,内山先生に書いてもらって。」内山先生は,続々と来る生徒と話し,喜びを分かち合っている最中でしたので,手が空いていないようでした。
そんなこんなしているうちに,私は,午後6時から新中1の授業に入りました。授業に入ったら,そのことにしか集中できないタイプです。卒アルに何かを書く,ということを忘れて授業をしていました。
ごめんなさい。その生徒は私の授業が終わるまで待っていてくれました。
こんな大切なものに私が何かを書いていいのだろうか?
いやいや,「枯れ木も山のにぎわい」という言葉もある。(つまらないもの〔私のメッセージ・私自身〕も,ないよりはマシである という意味)
こんな大切なものに何を書いたらいいのだろう。昔,ある人〔誰だったのか記憶が定かでない〕に,ある言葉を贈られたことがある。その言葉が,『癒しの詩人』と言われる,坂村真民という仏教詩人の言葉であると知ったのはのちのこと。
そうだ,その言葉を書こう!
念ずれば花ひらく
卒アルに書いたこの言葉は,どうやら,その生徒に気に入ってもらえたようでよかった。
君にピッタリの言葉。君だけじゃない,ここで1年間頑張ってきた受験生みんなに似合う言葉。
枯れ木だの,花ひらく だの考えていたら,枯樹生華(こじゅせいか)という四字熟語があるのを思い出しました。
文字だけを見ると,枯れた樹(木)に華(花)が咲くということなのですが,「非常な困難の中で,その状況から抜け出す方法を見出すこと」という意味が,この言葉にはあるようです。
当日のテストはもちろんのこと,その学校を受けるまでの道のりにも,非常な困難があります。いつも絶好調!ってわけではない。困難の中から抜け出すために,受験生の皆さんは,さまざまな工夫や努力をしてきたわけです。受験生にピッタリの言葉やな。
もしも万一,次にメッセージを求められたら,コレもレパートリーに入れておこう。
枯樹生華には,「年老いた人が,生気をとりもどす」という意味もあります。上に”枯れ木”と書いたけれど,それは言葉の綾でそう書いたまでで,少なくとも生徒の前では,生気はバッチリありますよ。
そして,枯樹生華のもともとの意味は,「この上ない真心が相手に伝わること」をたとえたものだそうです。この上ない真心の力で,枯れてしまった木に花が咲くというありえないことが起こったという話から,そういうたとえになったということです。
そうだな,真心をもって生徒に接していかないといかんなあ。そして,それが相手に伝われば,”花がひらく”わけだから。
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