2025/02/22
小6の国語の授業であつかった文章の中に,「両刃の剣(もろはのつるぎ/諸刃の剣とも書く)」という言葉が出てきました。”科学技術の進歩は両刃の剣のようなものである”という感じで文章中で使われていました。意味を知らない生徒が多いと思い,説明をしました。
両側に刃がついている剣は攻撃をするのに非常に便利です。けれども,刃が両側についているせいで剣を振り上げたときに自分を傷つけてしまう危険もあります。このことから,”一方では非常に役に立つけれど,他方では大きな害を与える危険もあるもののたとえ”として使われます。
公立入試の倍率が発表されました。不安な気持ちになっている生徒もいるでしょう。恐怖や不安のない人間はいません。恐れる心があるからこそ,危険を避けて生活できます。それは,恐怖心の全くない人間が自動車の運転をしたらどんなことになるかを想像すればわかると思います。恐れる心は人間が生きていくうえで絶対に必要で,安全な生活を送るために役に立つものです。
ただ,一方で,恐れる心・不安な心にとらわれてしまうと,いつものようなパフォーマンスができなくなる可能性があります。恐怖心につぶされて実力を発揮できなくなる危険があります。そう考えると,恐れる心は両刃の剣のようなものだと思います。
ボクシングのヘビー級で史上最年少でチャンピオンになったのはマイク・タイソン。タイソンの師匠でタイソンの才能を見出して開花させたのがカス・ダマト。
カス・ダマトがタイソンに言った言葉を,不安を感じている受験生へ。(自分よりも身体が大きなボクサーたちをなぎ倒し続けたタイソンですら不安を感じているのだ)
”恐怖心はボクシングを学ぶうえで最大の障害だ。しかし、恐怖心は一番の友達でもある。恐怖心は火のようなものだ。管理する方法を学べば,自分のために利用することができる”
”試合の前の夜は眠れなくなる。心配するな,対戦相手も眠れてやしない。計量に行くと,相手が自分よりずっと大きく,氷のように落ち着いて見えるだろうが,相手も心の中は恐怖に焼き焦がされている。想像力があるせいで,強くもない相手が強く見えてしまうんだ。覚えておけよ”
恐怖心に自分が支配されるのか,それとも自分が恐怖心をコントロールするのか。入試はもちろんのこと,生きていくうえで大切なことだと思っています。
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