北浜校ブログ

2024/01/11

ありがたきもの   大田

枕草子 より

枕草子に「ありがたきもの」という文章があります。

”ありがたきもの。舅にほめらるる婿。また,姑に思はるる嫁の君。毛のよく抜くるしろがねの毛抜き。主そしらぬ従者・・・”

と続きますが,この文の訳を校舎のブログに書くのは ちょっとまずい気がします。(この文を初めて読んだときには大爆笑をしました。)

古文の「ありがたし(ありがたき)」は,thank youという意味ではありません。漢字で書くと「有り難し」。あるのが難しい,つまり「めったにない」という意味です。現代風に言うとレア という意味。

(上の枕草子の文では,その”めったにないもの・レアなもの”をいくつか挙げていますが,何度読んでも笑いが出ます。平安時代も現代も変わらないんだなぁと。)

レアな(ありがたき)ものをプレゼントしてくれた,レアな(ありがたき)ことをしてくれた。そのレアな(ありがたき)ことに対する感謝の言葉として,現代の「ありがとう」という言葉が生まれたと言われています。

ありがたし

日常生活で,ありがたきもの(めったにないもの・感謝の対象)といったら何があるでしょう。まず頭にうかんだのが家族や友達。

家族や友達は,自分が何かをやったからとか 自分にはこういう能力があるから とかいうことではなくて,自分が自分だから受け入れてくれる。自分の存在をそのまま受け入れてくれる相手。自分が自分のままでOKの相手。めちゃくちゃ気が楽な相手。そんな人はこの世の中にめったにいない。だから感謝。

朝起きるのが苦手だった小学生の頃の自分を”何度も”起こしてくれた。布団から出ればもう部屋は暖かくなっている。食事も準備されている。お金を払ってもいないのにここまでやってくれる人間などいない。もう届きゃしないけれど心のなかで感謝。

仕事や家事などで忙しい中,この寒い中,皆さんの家族は塾への送迎をしてくれることもある。塾へ行く準備や食事の用意をしてくれたりもする。そもそも塾に通うのにはお金がかかる。私にはそういうことをしなければいけない相手はいませんが,もしもいたとしても,そういうことをやれる自信はありません。簡単なことではないと思っています。だから感謝。これは届くから口に出した方がいいかもね。

授業の挨拶

塾の授業の開始時と終了時には挨拶をします。「始めます」「お願いします」「終わります」「ありがとうございました」。

礼儀として挨拶をしています。習慣になっています。routineになってはいるのですが,「ありがとうございました」と言われ,ときどき自分に問いかけることがあります。

本当か? 本当に「ありがたき」ことを授業でやったのか?

と。

ありがたきこと=めったにないこと を授業内外でやれたのか。他ではめったに聞けないような話や説明をしたのか。質問や疑問に対して”めったにない(普通は ここまでやらんだろ?という)”対応ができたのか。

ときどきそういうことを考えています。そして改善をしていきたいと思っています。

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