2023/08/13
「親」という漢字を習った小学生の時,担任の先生がおっしゃっていました。
この漢字は「立つ」「木」「見る」と覚えればいいよ と。みんなのお父さんやお母さんは,木の上に立ってみんなのことを見ているんだよ と。
調べてみると「親」という漢字は,上の説明とは全く違う成り立ちであることがわかります。だから,先生が私達にしてくださった説明は間違いということになります。けれども,正しいとか間違っているとか,そんなことは私にとっちゃどうでもええです。漢字が覚えられましたし,何よりもこの説明がしっくりときているからです。また,この「親」という文字の説明にしみじみとしたものを感じるからです。
俯瞰(ふかん)や鳥瞰(ちょうかん)という言葉があります。俯瞰とは高いところから見下ろすこと。鳥瞰とは飛ぶ鳥のように高いところから見下ろすこと。ものごとを広い視野でみることを意味もあります。
親をふくめた大人は子どもよりも人生経験が豊富です。子どもたちが今たどっている道を自分たちも歩んできています。そのため子どもたちの生活を俯瞰できます。木の上に立って見ることができます。
それに対して子どもたちはそこまで見えていないことが多い。自分が今やっていることを俯瞰できる子どもは少ないと思います。だから,親の思いと子どもの行動がかけ離れたものになりがちなのかなぁなどと考えています。私も大人の一員ですので折に触れてこういうことを押し付けがましくならない程度に話していかなきゃいかんのかもなとも考えています。
昔 なにかの本で読みました。細かいことは忘れましたが興味深い話。たしか中国での話だったかな。
あるとき,戦いが起こった。そこの領民は城内に避難した。領民たちは城壁の上から戦いの様子を見ていた。すると,敵が罠をしかけているのに気づいた。戦の経験がない領民がなぜ敵の罠に気づいたのか? それは城壁の上という高いところから見ていたから。この戦いを俯瞰していたから。
一方で,戦いを指揮していた将軍はこの罠に気づかなかった。戦の経験がない人たちが気づいたことをなぜ戦いのプロが気づけなかったのか? それは,将軍が地上にいて目の前の敵の動きにのみ気を取られていたからだと思います。
この話は,上に書いた話と似ているような気がします。”高いところ”から見ると様々なことに気づけるという点で。
問題を解くときにも”高いところ”から見る というのは大切だと思っています。それについて書くと長くなりそうなので別の機会に書きたいと思います。(応用問題を質問されたときに最近 一番気をつけていることです)
私のところではお盆は8月。墓参りに行ってきました。墓参りをしながら小学生のときに担任の先生がしてくださった「親」の文字の成り立ちの(間違った)説明を思い出していました。
木の上に立っているんじゃあなくて,もっともっと高いところから見られてるのかもな,もっと頑張らんといかんなと思いながら墓参りをしてきました。
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